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パンセレネ国民の皆様、本日はようこそお集まり下さいました!
遂に迎えましたは、満月の王国・パンセレネの百周年で御座います!
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我らが女王セレナーデ様がこのレム・ワールドに降り立たれたのが、その始まり!
以降パンセレネは人々の住み良い楽園、安寧の王国として夢の世界を支えて参りました!
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パンセレネの歩みはレム・ワールドの歩みと言っても、過言ではありません!
どうか皆様!この素晴らしき日を共に!祝おうではありませんか!
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ワアアアアア…!!!
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リコリス。広場の様子はどうだ?
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今の所、不審な者は見当たりません。術の気配も…ありませんね。
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そうか。引き続き警護を頼む。何かあればすぐ報告するように。
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お任せ下さい。
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わあ…!なんて綺麗なお庭の飾り付け!
それにすごぉい人よ。お城の外にも、遠くの広場にもたくさんいるわ!
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ヒッヒ!姫様にお楽しみいただき何よりでございます…。
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ラティーファ王女、私どもの国の建国祭にも是非!お越しくださいませ。
ダイヤモンドに劣らぬ光り輝く海、真珠の如く美しい海岸沿いの街並み!
この世の楽園をお見せしましょうぞ。
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ええ!その時は王子様にもご挨拶しますわ!
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アラアラアラ〜。ゲストも例年より一杯ねン?
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なんせ百周年ですからなぁ。
我らがスパーツィアも、総力を挙げて!祭りを熱く致しますぞ!
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・・・アモーレ・フェスタより・・・すごい・・・よ・・・。
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ンもう、知ってるわよォ♥
パンセレネの百周年、アタシ達で盛り上げてい・き・ま・しょッ♥
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…静粛にし給え。女王の演説が始まる。
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ふふ…。
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わあああああ…!!!
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セレナーデ様ー!!!
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では女王様、こちらへ…。
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ええ。
…パンセレネの国民はじめ、レム・ワールドにお住まいの皆様!
本日はパンセレネの建国祭にお集まり戴き、有難うございます。
わたくしからも、心よりの感謝を… …?
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…っ!!!
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キャアア!!
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な、なんだ…?
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なに?何が起こったの?!
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…皆…空を見ろ!夢の樹が……
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………あらあらァ〜?
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セレナーデ様!ご無事ですか!?
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え、ええ…。わたくしは大丈夫よ…。
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…ッ。何事だ!
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そ、それが!
夢の樹が…空から消えちまったっす!
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消えた…?
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………た、大変です!一大事です!
ワタクシ少々仮眠を取らせて頂いていたのですが、げげげ、現実世界に目覚めることが出来ませんでした…!
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ええっ…?
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…何ですとっ!?
ゆ、夢の樹がどうしたと言うのです!騎士団!説明なさい!
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おいおい、混乱させてどうするの…。
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ハッ!
も、申し訳ない…。
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・・・ばくはつ・・・どかーん?
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こいつは…芸術どころの騒ぎでは、収まりそうもありませんなあ。
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…夢の樹が…なんということでしょう。
こんな事態が起きてしまうなんて…。
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わたしたち、もう、目を覚ます事は出来ないの…?
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おお…姫様…。
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ペルラ様!心当たりはありますかい?
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・・・・・夢の樹、ペルラさまは、担当・・・ちがう。
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そうそう、樹はアタシの管轄外なのよねェン。
に、してもォ…そんな予兆は見られなかったわよ。なぜかしらァ…。
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何者かの陰謀…かもしれないっすね…。
まさか、アルナディアがまた何か…?
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いや、奴らはいけ好かないが義賊を名乗ってもいる。
安易に首謀者と結びつけは出来ない…が、疑惑を掛けるだけの理由もあるな…。
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何者かなどは最重要の問題では無い。
我々の秩序を乱すとは、許せぬ…。
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…………
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…《レム・ワールド》に暮らす者は皆、志は違えど、この世界を大切に想っています。
誰かが危害を加えるなど…わたくしは信じたくありません。
わたくしたちが成すべきは、犯人を捕らえることでは無く、樹を探し出すこと。
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…女王様!
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愛するパンセレネの民よ。
皆の心に影を曇らせたこと、導き手であるべき女王としての失態をどうかお許しください。
わたくしにも…このような事態、予測が付きませんでした……。
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しかし…狼狽えることはありません。
ご存知の通り、わたくしたちには騎士団という大きな希望があります。
王国の精鋭である騎士団が、必ずや真実を突き止め、夢の樹をあの空へと再び還すでしょう。
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今までもこれからも、皆にそれぞれ元の世界があってこそ、
レム・ワールドは素晴らしい世界であり続ける。
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…そうして素敵な夢を、これからも見続けましょう。
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…………
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…おおーーーーーーっ!!!
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…なァんだか大変な事になっちゃったわねェ〜…。
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・・・・・・んん?
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…………。
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……ああ…本当になぜ、こんな事に…。
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…そうか。報告ご苦労、朔。
引き続き調査を進めてくれ。………。
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ノクス。朔は何て?
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…夢の樹が…。
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樹ィ?
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…爆発して消えた、そうだ。跡形も無く。
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…!?
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オイオイ…そいつァ大事じゃねえか!
どうするんだ?主様よォ…。
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夢の樹の消失…。
私達として他人事ではありませんわ、マスター。
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………。
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………チャンスだ。
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…え?
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夢の樹はこのレム・ワールドと現実世界を繋ぐ唯一の架け橋だ。
強大な力を持ち、最も重要なものでありながら誰にも触れられない不可侵の存在だった。
その夢の樹に今、異変が起きている。…。
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これまでは…オレ達が何をしようが、奴らにとっては引っ掻き傷にもなりゃしなかった。
だが夢の樹の爆発、これはレム・ワールド全体に入ったヒビ…。
こいつを広げる事なら、今のアルナディアにも出来るはずだ。
そうだろう?
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…確かにウチの規模もデカくなった。
真っ向からの戦争じゃあなけりゃ、勝機は…。
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ノクス…ノワール…。
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夢の樹はこの世界の鍵だ。必ず手に入れて…オレ達の力としてみせる!
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そうと決まれば決起集会だ!
…と行きたいが、まずは情報収集と整理が必要だな。
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数日後にパライソで集会を開く。
クロ、シロ。それまでにお前らのメンバーに招集を掛けておくんだ。
とびきりの宴を始めるぞ!
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ガハハハハ!腕が鳴るぜェ…!!
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………ええ。
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何十年と待ち続けたんだ。この瞬間を…。
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今こそ…オレ達の世界が、真実の理想郷となる時だ…!