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まあ…いつ以来かしら、こんなに暗い夢の夜空は…。
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星のぼうやが食べ尽くしてしまったんでしょうねぇ。
食いしん坊で困りますこと…。
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リュウシンが…ティエンシェン様が、天空を彩り始めて数十年。
星が蝕まれて、次は…。彼の司る太陽も、月も、このままではきっと…。
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…女王様、顔を上げてくださいな。
あなたが沈んでは、心の灯りさえも私達は失ってしまいます。
どうかお祈りください。世界と皆の無事を…。
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………ええ。
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これはこれは、新月の王様。
如何です?リュウシンから眺める月は奇麗でしょう。
星が纏わりつかない夜空は久しぶりの光景です。美しいですね…。
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…何の用だ。気持ちが悪い。
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私にも気になる事がありましてね…。
…何故、その力をお使いになろうとされないのですか?
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………。
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貴方の異能は、この夢世界において一際輝く代物です。
解き放てば…星の子の一人や二人、捕らえる事など造作も無い筈…。
あんな大口を叩きながら、我が身可愛さに封じ込めるおつもりですか?
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…。お前、オレの何を知っている。
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…さてね。
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ピカッ!
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! あの光は…!
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ああ!銀河にも負けず劣らぬあの輝き。なんと美しいのでしょう…。
実に素晴らしい、夢の樹というものは…。
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…さあ。
どうやら…長ったらしい捕物劇も、そろそろ幕引きのようですね。
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隊長!有志団員から目撃情報が相次いでいます!
橋の方に逃げ込んだと!
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…近い!追うぞ、ここで捕らえて見せる!
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ダダダダダダッ!!!
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…願星よ、そこまでだ!
夢世界の星夜空、返して貰う!
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・・・けぷぅ。
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ほし もぐもぐ! ぼく おなか いーっぱい!
げんき!むてき! いまなら ね なんだって できそー・・・!
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……!!!や、ヤバイっすよ…!
こんな禍々しい波導…感じた事がないっす…!
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子ども相手に剣を振るうのは気が引けるが…仕方あるまい!
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キィン!
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ひやあーっ!
むう! ・・・よくも やった なー!
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くっ…!光の壁よ!
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ふははー! いまの ぼくは つよい ぞー!
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キイイイイン…!
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がっ!な、なんて…力だ!
容易く壁を破っただと?!
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ねえ。
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かなえて あげる・・・
きみの おねがいごと なあに?
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…!!!
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団長!危ない!
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おりゃあああ!!
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ガキィン!
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?!?! だ だれっ?!
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立ち向かう騎士は一人じゃないっすよ!
オレ達の力を見せてやる!観念するっす!
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ひやあああ・・・!!!
・・・ぱたっ。
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……っし。
手荒な真似でゴメンな。少し眠っててくれっす…。
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へへん、どーっすか隊長!オレだって頼りにな…
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ドンッ!
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ああもう全く……!
…そういうこと言わなければ格好よかったのにねぇ。ね、団長?
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……ってぇ〜〜!なんすか急に突き飛ばして!?
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??あ、ああ…。
しかし助かった。…感謝しよう。腕を上げたな、ルシエル。
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えぇ?!そんな…団長が褒めてくれた?!?!
聞き間違いっすか?!これ夢っすか?!?!
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…夢だよ、ルシエル。
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団長!もう一度!もう一度言ってくださいっす!
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え、ええい!二度は言わんからな!
無駄口を叩いている場合では無い!願星を確保しろ!
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は、ハイッ!!
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実にお見事でしたね。
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うわっ!!??
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拝見致しておりましたよ、願星様を捕らえるお姿を…。
いえ、ご活躍はずっと追っておりました。
騎士様並びに、パンセレネの皆様。本当に有難う御座います。
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ああ、願星様………。
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・・・・・ うう・・・。
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…ごほん。
天輪塔でティエンシェン様と、エメ様がお待ちです。皆様、どうぞお越し下さい。