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皆さん!
願い星の子どもを…捕まえたんですね。

ああ。今は力尽きて眠っている…。
…それで。この現象は夢の樹によるもの、と言ったな。一体どうすれば良いのだ?エメ殿。

ハイ。そのコトもお話ししますが…。
先に、ティエンシェン様からワタシ達にお話があるそうです。
アルナディアの皆さんもお待ちです。行きましょう。

奇石より話は聞いておる。…星々の輝きは、元に戻りつつあるともな。
客人共、此の度は御苦労であった。礼を言う。

はっ。

……ちっ。

星を捕らえたパンセレネには、リュウシンより褒美を授けよう。
後の報せを待つが良い。

ンだァ?あんだけ突っぱねといてミョーに素直じゃねェか…。

…あれ?ねえねえ、あの子たちって…。

…して、月の客人どもよ。我がリュウシンから、非礼を詫びねばならぬ。
罪人よ、前へ。

…はい。

メイランさん…?

この者は村の掟を破り、更に其れ以上の罪を犯した。
拠って島外追放の刑に処す。

ザワザワ… ザワザワ…

………フン。

…彼女は、一体何を…?

願星様を生み出した張本人だから…ですよ。
夢の樹とやらの力が、メイランの願いに作用してしまったのです。

…迷惑かけてごめんなさい。私のせいで…こんな大事に…。

…星見祭の終わりの日。河の片隅で、とても強くて眩しい灯りを見つけたの。
引っ掛かって流れなかったのかしらと、取りに行ったわ…。

まばゆい虹色のそれが、とても綺麗で…。
いつもの灯り星と違うからおかしいとは思ったけれど、私、思わず家に持って帰ってしまったのよ。
そしてそれから七日七夜、お願いごとをしたわ。

願い星の伝承なんて信じてない。星がただの光だって、一番知っているもの。
でも…もしかしたら、奇跡が起きるかもしれない。そう思ってしまうほど、綺麗な光だった…。

…その間は、結局何も起きなかった。
さすがに諦めて、他の灯り星と同じように、次の晩に河に流したの。
何かは解らずじまいで、いつものように過ごしていたら…。

…空から、星が消え始めた?

……ええ。

そして村に、伝承のような存在が…願星様が現れたのです。
村人の話をもう一度洗った所、彼女の証言が出ましてね。発端は間違いなくメイランでしょう。

で…でも!メイランさんがやろうとしてやった事じゃないっすよね!?
それだけで追い出すなんて…!

異変が報告されていれば、このような惨事は起きませんでした。
…そもそも、灯り星を私用で持ち出す事も掟で禁じられています。
些細な行動でも、結果として被害は甚大です。重く裁かねばなりません。

…これでこの村にも再び平穏が訪れるでしょう。
報告、感謝致しますよ。リンホン。

…すまない、メイラン。

ううん…いいの。

……………。

…我々の事情でこれ以上お時間を取らせる訳にもいきませんね。
夢の樹の話に移りましょう。エメさん、お願いします。

あっ、ハイ…!

…ええと。
みなさんが願い星の子どもを追っていた間、ワタシは彼が何者か調べていました。
ルボワ様と出した結論は…【夢の民】に近い『なにか』、です。メイランさんの願いに応え、その姿を現した…。

レム・ワールドではあらゆる物資が日々生み出されていますが、
生命を宿したモノとなると、そのハードルは格段に上がります。
夢の民は、本人の強い力・想いが無ければ、本来生まれないハズ。

夢世界は、生き物のエネルギー…皆さん自身の力で成り立っています。
そのエネルギーが最も蓄えられているのが、必ず通る出口…【夢の樹】。
というコトは以前お話しましたが…。

樹に宿るエネルギーのコトを、ワタシとルボワ様は【夢の煙】とも呼んでいます。
強い【夢の煙】が、【夢の樹】の消失によりレム・ワールド中にばらまかれた。
メイランさんは「虹色の眩しい灯り星を見つけた」と仰っていました。
おそらく、この煙が取り付き、作用したのでしょう。

『螢が一等輝く特別な星を創る時、命が宿り、『願い星』は誕生するであろう。』
…村に伝わる伝承を、夢の樹が具現化させた…という訳ですか?

ハイ。ソレだけの力を、あの樹と煙は持っているのです。

…想像もつかないわ。
私達の作っている、あの光る織物が、本当に…こんな子どもに?

夢の煙で力を得ても、灯り星ひとつでは器が足りなかったのでしょう。
だから、自分と同じ星を吸収していたんだと思います。力が暴走する前に捕まって、良かった…。

・・・すう・・・ むにゃむにゃ・・・。

この子は、これからどうなるの…?

コレ以上害を及ぼす前に、取り払います。
【夢の煙】は、樹本体を探すのに重要な手がかりだとワタシ達は考えました。
ワタシは夢の花。少しであれば、樹と同じように煙を吸収できるハズ…。

…ただ…取り払えば、願い星の子どもはただの灯り星に戻ってしまいますが。

………やはり………そう…なりますか………………。

…非常に、非常に口惜しいですが、
ほんの一時でも、この目で願星様が拝めて、私の望みは叶いました。
世界の危機とあらば致し方ありません。送り出させて戴きましょう。

(…アイツ、なんでどことなく上から目線なんすかね…?)

そう…消えてしまうのね。この子も…。

ん・・・。
・・・おねがい・・・かなえ・・・るぅ・・・。むにゃ・・・。

………。願い星さん、私のお願いを聞いてくれたのね?
ふふっ、お陰様で叶いそうよ。あなたはすごいお星様ね…。

生まれてきてくれて、ありがとう。
…さあ、ゆっくりおやすみなさい。

・・・・・ふふー・・・。

では…。
…願い星の子どもよ、アナタに罪は無いのに…ごめんなさい。
巡りあい、またいつか命として生まれますように…。

夢の煙よ、我に還り給え!

-
パアアアア…!!!

! エメ殿が光を…!
星の子が…消えていく…!?

-
シュウウウ…

………ふうっ。
無事、吸収できたようです…。

今のが、そうなのか…?

ハイ。
夢の煙を取り込めば取り込む程、ワタシの力も大きくなります。樹を探すのにも役立つでしょう。

樹を追い求める先にはきっと、夢の煙が引き起こす異変がついて回ります。
これからは更なる危険が付きまとうかもしれません。どうかみなさん、力を貸してください…。







