top top

後編1/2/3/4

リュウシン 竹林の道

メイラン
メイラン

………。…あら?

メイラン
メイラン

バルビートにイルミーゼ。ふふっ。
…どうか、あなたたちはいつまでも仲良くね…。
……………………。

メイラン
メイラン

居るのは判っているわよ。
それで、何の用かしら?リンホン。

リンホン
リンホン

………俺も、一緒に行く。

メイラン
メイラン

追放を命じられた罪人は私だけよ。
あなたのことだから、止められなかった自分も同罪…とか思ってるんでしょう?

リンホン
リンホン

そうじゃない。
俺が行きたいから、行くと言っている。

メイラン
メイラン

!!
…私達がここを出たらどうなるか、わかってるでしょ…?

リンホン
リンホン

覚悟の上だ。

メイラン
メイラン

………そう。

メイラン
メイラン

…願い星のこと…。あなたがジーシー様に告げなくても、いずれこうなったと思う。
私達の天神様に隠し事は出来ないわ。

メイラン
メイラン

むしろ…言ったのがあなたで、嬉しかった。
私の我儘を聞いてくれるのは、昔からリンホンだったのよね…。

リンホン
リンホン

…あの星に、何を願ったんだ。

メイラン
メイラン

ふふ…。
…自由になりたかった。ここじゃないどこかへ…外に出たいって。
ほらほら、叶っちゃった。うふふ!

メイラン
メイラン

だって、夜空はもう見飽きたわ。太陽が昇る青空と、鏡のように光る青い海が見たいの。
話に聞いて、ずっとずっと憧れていたのよ…。

メイラン
メイラン

リンホン。…本当にあなた、何もお願い事は無いの?

リンホン
リンホン

………。
天神様に与えられた命を、島の為に全う出来ればいい。
何か望めと言われても、俺は何も思い付けなかった。
だから、願いの尽きないお前が眩しい。

リンホン
リンホン

俺に望みがあるのならば、それは昔から変わらない。
メイラン、お前の願いを叶えたい。

メイラン
メイラン

………!!

メイラン
メイラン

……………わ、私ね…?他にも行きたい所、あるの……。
その…火山が見たいわ。真っ赤な炎が噴き出て、燃えるんですって…。そんな力強い光、見たこと無いから…。
…リンホンも無いでしょ。いつか、見せてあげたいなって…。

リンホン
リンホン

……俺に?

メイラン
メイラン

うん…。
…行きましょう、一緒に。海も山も、なんだって見て周りましょう。
これからは…自由なんですもの!

リンホン
リンホン

……そうだな。きっと、美しい筈だ。

メイラン
メイラン

…………もうすぐ出口ね……………。
ねぇリンホン…。手、繋いでいい?

リンホン
リンホン

…ああ。

メイラン
メイラン

ふふっ…。

リュウシン 天輪塔

ジーシー
ジーシー

…命の灯りが二つ、消えました。
「島から出た」模様です、天神様。

ティエンシェン
ティエンシェン

……消え失せたか。我が愛しき幻灯よ……。

ジーシー
ジーシー

貴方の異能の代償は、このリュウシンから出られない事…。
【夢の民】である彼らの命も、島でしか保たれない。
故に島外追放は、リュウシンに住まう者にとって、最も重い刑である。
…そう掟には定められていましたが、私も見たのは初めてです。

ティエンシェン
ティエンシェン

…初めに生み出した螢は、私を理解し…共に世界を生きた。
確かに理想郷を、この手に掴んだのだ。現世の過ちは繰り返さぬと誓った。

ティエンシェン
ティエンシェン

然し、夢の中であれど時は過ぎ去った。
つがいは数を増やし、代が巡り、……心が離れ行くのを感じていた。
…遂に私の目前から姿を眩ませたのか…。

ティエンシェン
ティエンシェン

離さず置く為に敷いた掟も、最早意味を為さぬ。
……命を失う事が、恐ろしく無いと云うのか。
私には解せん。何故…神に逆らい、平和を手放すのだ…?

ジーシー
ジーシー

………天神様………。

 

 

>>後編1