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………さ、さささ…寒っ…!
何なんすか、この城の寒さは…!

異常ですね。吹雪く外より格段に寒いなんて…。

ふぅ…まるで…冷凍庫のよう、だな…。
長居は危険だ。早々に女王様を救出せねば…!

(…寒さ以上に。アルナディアがこの城に乗り込んでいる事が気がかりだ…。
それにエメ殿も、先程から呼んでも姿を見せない。
何か…胸騒ぎがする。杞憂であれば良いのだが…。)

なあに?
そんなに凍えちゃって…情けないわね。

し、仕方ないデスよ〜!
雪ん子のネージュにも…ココの寒さは…ぶるぶるぶる。

……そうなの?貴方ですら…?
私は…平気よ。ちっとも寒くなんてない……。
………そんな温かさ、私には………。

…………。

………!!!
あのお方は………!?
ま、待って頂戴っ!!

ああ〜っ!?
ど、どこ行くデスか!シードルちゃん〜!!!

今の白い騎士は…何度か我々と遭遇した男ですね。
こちらに攻撃を仕掛けてきた例も報告されています…。

シードル殿が危ない…!追いかけるぞ!

はっ、はいっす…!!

ここが…女王様のお部屋ですだ。

……皆、覚悟は良いですか。
この先からは…禍々しい気配を感じます。

…だなァ。嫌なニオイがしやがるぜ。

つ、ついに、氷の女王様のおでましってこと…?
……ううう…さむーいっ!

いやぁ〜?
オレ様の超高性能レーダーによると…気配は複数あるぜ。
…女王の他にも…何者か、居やがるな。

お、オラが聞いた…女王様と話をしていた誰か、だと思うですだ。
確か…男の人の声で、「影の使い」とか呼ばれてたような…。

「影の使い」…それはきっと、ジュードの事でしょう。
氷の女王と何かを企んでいるのかもしれません…。
いえ、でも…それ以上に危険な予感が……!
…そこに居るのじゃろう

! ミロワール様のお声…!!
妾はもう待ち草臥れた…。
早う此方へ来んか。其方らを待たずして「食事」を始めても良いのだぞ?
さあ、さあ…!!

……チィ!

行きましょう。ノクス様をお救いしなければ…。
大丈夫…ここは私に任せてください。
…扉を、開けますよ。

-
ギィィ…!!

お そ い 。
食事時はとっくに過ぎておるぞ。妾を待たすとは何様のつもりじゃ?
ふん。長く彷徨い、さぞ魂まで凍えたであろうな…。

ノクス様…!!!

………………。

-
ギィィ…!!

セレナーデ様ッ!!!

………………。

…げえっ!
アルナディア!?もうこんな所まで…!

あン?騎士団…テメエらも着いてやがったか。
…運が良かったなァ。生憎、今日はパンセレネに用事は無ェんだ…。

…この女王様とやらに、ウチの主様を返して貰いに来た。
オイ…嬢ちゃん。覚悟は出来てんだろうなァ!?

なんじゃ?
城主の挨拶に応えぬどころか啖呵を切りおって…礼儀がなっておらんのう。
…………。

………ふふ………
…良い。実に良いぞ…。

何がっすかっ!!!

妾はのう……其方らのような、乱暴で、活きの良い民どもが……大好物でのう!

み、ミロワール様…!?
何を仰ってるべさ?オラ達は食いモンじゃ無ぇのに…!

ふふ…今宵は久方振りに、満ち足りた晩餐となるであろう…。
さあ!掛かって来るが良い……!!!

-
ヒュオオオオオオ…!

くっ…!
戦える者は武器を構えろ!
そうでない者は…速やかにこの場から離れるんだ!

いえ…。

-
ゴウウッ…

…そうは、させません。
アルナディアの皆、パンセレネの騎士様方も…お下がりになって。

なっ!
アルナディアに任せられる訳が… …うわぁっ!?

なんて高熱の…炎の幕っ…!
く…近寄れん…!!

彼女は私が何とかします。
アルナディアの皆…ノクス様の救出はあなた達にお任せするわ。
…必ずこの城から逃げ切って。

…テメエも…絶対にくたばるんじゃねェぞ。

…ふふ。

ほう…其方が妾の空腹を満たそうと云うのか?
面白い。見せてみよ、その力を!

満たされぬ飢えを抱えた、哀れな氷のお姫様よ…。
その世界、私の炎で燃やし尽くして差し上げましょう。
あなたの心に今、救いを!

…[蒼い焔]…喰らいなさい!

-
ゴォォオオオォォォッ!!!

…………ぐぅうッ…………!!

-
ゴォォオオオォォォ…

…凄まじい炎だ…。
教会の幹部は非戦闘員と聞いていましたが、こんな力が…。

彼女も…ディアマント様やペルラ様と並び、「伝説」と呼ばれるドラゴンの一種…。
直接敵に回せば、我らも厳しい戦いを強いられるだろうな…。

だが幸い、今は時間稼ぎをしてくれている。
急いでセレナーデ様を助け…
……ルシエルは、何処へ行った?

あっ!
あいつ、もう敵の方に突っ込んで…!

(女王はアルナディアの幹部が相手をしてくれたっす。
この隙に、セレナーデ様を救い出してみせる…!)

…セレナーデ様っ!

……通す…ものか……。

-
カキィン!

ぐっ!
…出たっすね、氷の騎士!容赦はしないっすよ!

やめてっ!!

-
ザシュッ!!!

…かはッ!

…シードルさんっ!?
な、なんでその騎士を庇って…ああ、今手当てを…!

………はぁ……はぁ………がはっ……。
……わ、わたし、の………。

わたし…の、おうじさま…に…さわらない、でっ…!!

えええ〜っ…!?

…………。

-
ゴォオオオォォオ…!

主様!オイ、しっかりしろ!!

……………………。

ふ……ふふ………無駄なこと!
その者の心は…妾が凍らせた!謂わば操り人形、よ…。
…もきゅ…もきゅ…。

あン?
逃げ場が無ェってのに大した余裕じゃねェか………
……オイ。テメエ何をしてやがる?

ふむ…中々…刺激的な味わいの炎、じゃな…もきゅ…。
うっ……此れ程、に…食べ応えの…ある前菜も…また、新鮮じゃ…。

うそでしょ…。あの女王様、炎を食べてるよっ!?

…ブランシュさん!危ねえっ!!

-
ゴォオオオォオ…

………え………?

さて、其方の味は如何なものか?

-
バクッ!!!!!

もきゅ…もきゅ…もきゅ…もきゅ…

あ、ああ…女王様………人を…食べて……!??

もきゅ……もきゅ………ごっくん。

-
パアアアアア…!

……馳走になったぞ……ふふ。

これで、白き炎龍の力は…妾のものじゃ。
ふふ…ふはは…ははは…!!!

ブランシュ!!!
てっめぇ…よくも!!

オイオイオイ…コイツ、姿が変わったぜ!
パーツ交換も無しにフォルムチェンジかよ…!?

………ふむぅ。
まだだ。まだ足りぬ…。
妾の飢えを満たすには、まだ…!

-
ヒュオオオオオオ…

ふふ、妾は愉しみを最後に取っておく嗜好でな。
…だがもう我慢の限界じゃ。
新月の王よ。其方を戴くとしよう…!!

………クソが………!!!
おやおや。
それは困りますね…。

…シードルさん!そこをどいてくれっす!
君まで巻き込む訳には…!

嫌よ…!
かはッ…やっと見つけた、私の王子様…。
…殺させる、もの…ですかっ…!

…………。

あの白い騎士…シードルさんが王子様、と呼んでいますが…。
知り合い、だったんですか?

ううん…?
昔会ったことがあるのか、シードルちゃんの一目惚れなのか…。
し、シードルちゃん〜…危ないデスよ〜…!!

…待て、何か…こちらに来る……!!

-
ゴゴゴゴゴゴゴ………

………………ギィィィィ…………!

…!!
あれは……海でも見た、次元の裂け目…!

やはり来たか、黒い龍…!
………誰か他にも居るな。あの男は………?

ミロワール様…申し訳ありません。
本日のお食事会はこれにて閉幕とさせて戴きたいのです。

………ジュードっ!!!

おや…フフ。お久し振りです。
極寒の城にお越し頂けるか少々不安でしたが、流石はご立派な戦士の皆様ですね。

むう…。
邪魔をするでないぞ、影の使いよ!
主菜を待たずして幕を降ろす晩餐会など妾は認めぬっ!

仰る事はご尤も。
ですが…ブランシュの放った炎が、この城を溶かし始めています。
長くは保ちそうにありません。せめて舞台を変えなくては。

……………………。
……このアシェットセーヌ宮を手放すのは、名残惜しいが…。
仕方あるまいな。背に腹は代えられぬ。

氷の騎士よ!満月の女王と新月の王を運ぶのじゃ!
食事会の続きは、我らの『巣』で執り行おうぞ。
ふふ、ふふふ…!!

……御意……。

!!
くっ…連れて行かせるか!

ノクスちゃんは返してもらうよっ!
ノイジーちゃん、いっけぇーっ!!!

OK!リミッター解除!!
超弩級破壊光線………GOーッ!!!!!!!

-
ビィィィィィ…

-
チュドーンッ!!!

ふふ… 効かぬ!

-
キラッ…

-
シュバァ!!!

うそ!破壊光線を反射したっ!?
なにあの鏡ーっ!!

団長!危ない、そっちに…!!

……なッ!?

…………団長っ!!!

-
ダダダッ!!

ルシエルっ!??

-
ドオオオオオォンッッッ!!!!!!!

-
モクモクモク…

…………う…………けほ、ケホッ……。
……痛みが、無い……?

………………………………。

る、ルシエル……!!?
しっかりしろ!!おい…!!!

(……息を、していない………脈も………無い………………………!)

ほう…?
その青い騎士…”羽化”の兆候が出ていますね。
離れた場から咄嗟に庇う、その俊敏な動き…素質も申し分無い…。

ユールログ。彼も連れてお行きなさい。

……貴様!私の部下に何を…… ………ッ!

-
ピキィン!!!!!!

(か、体が、動かない…!!)

フフ…。
金縛りの芸事はノクス様の専売特許ではありませんよ。
……おや?

……ハァ…ハァ……!!!
返して貰ったぜェ、オレ達の主様はよォ……!

……………………。

ああっ!妾の主菜が………!!

これはこれは…お見事!
流石格が違いますね、黒き雷神は。
まあ…満月の女王は手に入りました。収穫は十分でしょう。

………ジュード!!
コレはテメエの仕業かァ!?

フフ…答える義務もありませんね。
今の私は、この魔王様のご意思に従う忠実なしもべなのですから。

ギ…ゴガゴ……ゴッ……!

どうしても知りたいのであれば…「魔物の巣」までおいでなさい。
まるで鏡のような世界で、貴方達を待っていますよ…。

さあ、撤退としましょう。
フルム。宜しく頼みますね。

グォオォオン…!!

-
ブオン!

オイ!待ちやがっ……

-
ピシャアアアアッ!!!

-
ゴゴゴゴゴゴゴ………

城が、崩れる…!皆、早く外へっ!!
団長も!早く脱出を………!!!

セレナーデ様っ…!!!ルシエル……!!!







