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前編1/2 後編1/2

ウール・ボワ 魔女の塔

ルボワ
ルボワ

その男…ジュードが、黒い龍の事を「魔王」と呼んだのかい。
そして自らはしもべである、と…。アルナディアの商人が、ねえ。

エメ
エメ

ハイ…確かに、そう言っていました。

ルボワ
ルボワ

魔王。魔物の王…か。
「魔物の巣」…それが奴らの本拠地と?

エメ
エメ

ジュードさんは、「知りたければおいでなさい」と…。
どこにあるかは…ワタシにも掴めていません。

エメ
エメ

けれど、突然禍々しい空間に飛ばされた、というヒトはいくらか。
大怪我を負い、死の淵を彷徨って…気が付いたらあの黒い龍が居たそうです。
そこで問い掛けを拒むと、元の世界に戻ったと…。

ルボワ
ルボワ

そりゃあ…まるで悪夢さね。
……で、パンセレネとアルナディアはどう出るんだい。

エメ
エメ

攫われた方々を救うために、「魔物の巣」について調べているようです。
正体は何者なのか、入り口はどこにあるのか…。

エメ
エメ

………ルボワ様。
ワタシは…あの場に出て行けませんでした。
あのヒトに、見つかりたくなかったから…。

ルボワ
ルボワ

そうかい。
…どうしてだか、あんたの未来も過去もあたしの力じゃ視えなくてねぇ。

ルボワ
ルボワ

エメ。あんたは謎が多すぎる…。
その無垢な少女の願いこそが、甘い罠かもしれないと…疑うのは容易さね。

エメ
エメ

……………。

ルボワ
ルボワ

…それでも、あんたを信じるよ。
レム・ワールドを守りたいんだろう?
最後まで皆を導いておやり。

エメ
エメ

…………ハイ。

パンセレネ プレーヌ・リュヌ城

ディアマント
ディアマント

ふむ。
瀕死の間際に見た、悪夢の如き夢島…。
恐らく、その場所が「魔物の巣」であろう。

ペルラ
ペルラ

ゴホッ、ゴホッ…。心配無いワ。
レム・ワールド内に存在する空間である限り、
ソレは夢島として…何処かに必ず具現化されている筈よン…。

ペルラ
ペルラ

何とかして見つけましょッ!
…ゴホンッ! …ハァ、ハァ…。

スパシ
スパシ

ペ、ペルラ様…。
ご無理はなさらないで下さい。お休みになっていた方が…。

ペルラ
ペルラ

おバカッ!この非常時に寝込んでなんからんないわよォン!

マルツォ
マルツォ

起きてらしたんで、ガルニエクランの件を報告したんだがなぁ…。
会議に出る!って止めても聞かなくてな!
なぁに、俺達がきっちりサポートする。心配すんな!

スパシ
スパシ

わ、わかりましたよ…。
(ハァ…これだからスパーツィアの連中は苦手なんだ…。)

ペルラ
ペルラ

…で、アスセーナちゃんは?まだ部屋に篭ったままかしらン?

ロジエ
ロジエ

そのようです。
怪我は治療済み…ですが、精神的に堪えたのでしょう。
力及ばず、女王陛下と部下が連れ去られた事で自らを強く責め立てています。

ペルラ
ペルラ

…暫くは、そっとしておいてあげるのが良さそうねェン…。
彼女もだけど…有志のコ達にも随分無茶させて来たワ。
戦士は…しばし休息としましょ。

ディアマント
ディアマント

ロジエ前騎士団長。
騎士団の指揮は、一時的に君に任せる。

ロジエ
ロジエ

…はい。お受け致します。

効果音

コンコンコン!
ガチャッ ギィィ…

クリスチーヌ
クリスチーヌ

あ、あのぉ〜…。
会議中すみませんっ。ちょっとお伺いしたいことが…!

クリスチーヌ
クリスチーヌ

女王様のお部屋を掃除してたら、古い本が出てきたんですっ。
ですけど、文字がさっぱり読めなくて…。

スパシ
スパシ

どれどれ………。
…うわ、また読めない言語。手記のように見えますが…。

ペルラ
ペルラ

筆跡はセレナーデちゃんのものだと思うわン。
でも、アタシにもさっぱり…。
…アンタはどう?読めるかしらン?

ディアマント
ディアマント

………………いや。
私にも理解不能だ。

ロジエ
ロジエ

ディアマント様。
新聞社のルーベンス代表に読解を依頼されてはいかがでしょう。
こういったものへの造詣は、かなり深い人材かと…。

ディアマント
ディアマント

ルーベンスか…。
確かに、彼の得意分野であろうな。手配を頼む。

クリスチーヌ
クリスチーヌ

新聞社って、あの「プレス・クリール」の…ですかっ!?
……だいじょうぶでしょうか……。

スパシ
スパシ

あー……。アレは半ゴシップ誌ですが…。
ルーベンス局長は、長らくクロノディウムに勤務されていたそうです。
ディアマント様のお墨付きなら…信頼に足り…ます、よね?

ディアマント
ディアマント

………。
依頼内容に関しての保証は、しよう。

スパシ
スパシ

(…大丈夫…じゃ、ねーかもなぁ…。)
…では続いての議題、ガルニエクランの住民の保護計画について。
住民は全員無事を確認済みです。パンセレネ・イネス地区への仮移住ですが……。

アルナディア 新月の館

ノクス
ノクス

………………。

ノワール
ノワール

…主様の調子はどうだァ?

ピエトロ
ピエトロ

深い眠りについていらっしゃいます。
今は静かですが…時折、酷くうなされていますね。
まるで何かと戦っているような…。

ノワール
ノワール

…なんとか取り返しはしたがよォ。この調子じゃあなァ…。

ピエトロ
ピエトロ

凍りついた心を溶かそうと、もがいていらっしゃるのでしょうか…。
嗚呼、恐れていた事が起きてしまった……。

ノワール
ノワール

…あの氷の女王は…オレ達がブッ潰してやる。
ブランシュまで連れて行きやがって…。クソッ!

ノワール
ノワール

しかしよォ。攻め込もうにも、「魔物の巣」…?
聞いた事も無ェ名だ。そいつァ何処にあるってんだ…。

ピエトロ
ピエトロ

場所の見当は付いていませんが…。
あの大莫迦者…ジュードの行方を追えば、いずれ辿り着くでしょう。
アルナディアを温床にし、魔王の計画を進行させていたようですからね。

ノワール
ノワール

あァ…アイツも魔王と一緒に姿を消しやがった。
あの様子…全てを把握していると見て、間違いねェだろう。
とっ捕まえて吐かせてやるぜェ…!

アルナディア フェ・クラーレ教会

アリストフ
アリストフ

…そうですか。
ブランシュ様は、自らを犠牲にノクス様をお救いに…。

ノーチェ
ノーチェ

うん…。
…止めらんなくてゴメンね…。

アリストフ
アリストフ

貴方がたの罪ではありませんよ。
ジャウハラに出向かれた時から、覚悟なさっていたのでしょう。
あのお方らしい決断です…。

シェリー
シェリー

この島が無事という事は、まだ生きてるって証ですっ!
取り込まれてしまったブランシュ様を、どうかお救い下さいっ…!

ノーチェ
ノーチェ

うん。ぜったい…助けるから。

ノイジー
ノイジー

そ〜〜〜だぜっ!!!
一度敵と遭遇し解析しちまえばこっちのモンだ!
次こそ我が軍勢に!勝利をォ!もたらさん!!!

アリストフ
アリストフ

はは。頼もしい返事です。
………で。先程から覗き見をしている、君はどちら様?

マスカ
マスカ

…………………ヒィッ!

シェリー
シェリー

えっ?あなたは…。
ま、待って!逃げないでくださいっ!

アリストフ
アリストフ

君は…近頃、よく教会で見かける子ですね。
人の居ない時を見計らって、祈りを捧げているでしょう。
私達はちゃんと知っていますよ。

マスカ
マスカ

………えと、あの………。
………………………そ、そのっ………………………。

シェリー
シェリー

…あなた、いつも辛そうですっ。
私たちに何か出来る事はありませんか?

アリストフ
アリストフ

良ければ、我々に話をして戴けますか。
その行為が、君の贖罪となるかもしれませんよ。

マスカ
マスカ

……………………!!!

魔物の巣 アヴァロンの間

???
???

おお!
これはこれは…素晴らしい素材を持ち帰りおったな!

ジュード
ジュード

ええ。ノクスは逃しましたが、思わぬ収穫がありました。
彼は立派な魔物の戦士になるでしょう…フフ。

ルシエル

……………………。

クイーン・ミロワール
クイーン・ミロワール

ブツブツ……妾の馳走が……ブツブツ……。

ジュード
ジュード

ミロワール様…そう気を落とさないで下さい。
必ず彼はまた逢いに来ますから…ね。

ジュード
ジュード

さて…次の舞台はいよいよ我ら魔王軍の巣です。
ブリンガー。準備は整いましたか?

ブリンガー
ブリンガー

ホッホッホ…!あとは仕上げのみ!
レム・ワールド各地に遣わせた魔王軍の者達も…。
次々帰還しておるぞ。ホレ!

ヘンゼル
ヘンゼル

キャハハ…!パーティの始まりだネ!

グレーテル
グレーテル

パーティ?パーティ!
おかしいっぱいたべれるかなぁ?キャハハ!

ジーシー
ジーシー

そうですね…。
私と致しましては、あともう少しお時間を頂きたい所ですが…。
まだティエンシェン様を”羽化”まで導けておりませんので。

ローレライ
ローレライ

なかなか強情で困ったもんだ。あの龍神様はよぉ…。
アッハ!アンネローゼはすーぐ占いを信じやがったのになぁ!

ネージュ
ネージュ

ネージュはシードルちゃんがコッチに来てくれて嬉しいデスよ〜!
ウフフ…ずーっと「素質アリ」って思ってたんデスから!
立派な魔物になるデス!ねっ!

シードル
シードル

はぁ?お断りよ!
魔物になんてならないし…貴方達の味方でもないわ。

シードル
シードル

私はユールログ様…やっと見つけた私の王子様に着いていくだけ…。
うふふ。もう離さないんだから…!

ユールログ
ユールログ

…………………。

ジュード
ジュード

フフ。我が軍も賑やかになったものだ…。
……おや。ラティーファ姫の姿が見えませんが?
それに…エールと言いましたか、森の青年も居ませんね。

ブリンガー
ブリンガー

左様か?ヤレヤレ…手間がかかるわい。
どれ、迎えを寄越すとするかの…。

ジュード
ジュード

…いえ、お待ち下さい。
彼女達はこのまま放っておくべきかと。

ブリンガー
ブリンガー

はて?
…お主、何か策でもあるのか?

ジュード
ジュード

我らの巣への導き手となって頂きましょう。
道が判らず宴に欠席されても困りますからね…。
そうでしょう?魔王様。

魔王
魔王

…………。

ジュード
ジュード

…フフ。相変わらず寡黙なお方だ…。

【ここまでのあらすじ】

氷の女王ミロワールの間へと辿り着いた騎士団とアルナディア。
ノクスを救うためブランシュが身を挺するも、その力ごと取り込まれてしまいます。
案内役のシードルは謎の騎士・ユールログを庇い裏切り、
更には「黒い龍」と、アルナディアの商人であったジュードも現れます。
魔王軍を名乗る彼らは、「魔物の巣」で待つと残し氷の島を去るのでした…。

パンセレネはセレナーデ女王の奪還に失敗。騎士・ルシエルも攫われる事態に。
アルナディアはノクス奪還に成功したものの、意識が未だ戻りません。
両陣営は、「魔物の巣」の所在をそれぞれ追い求めます。
その舞台裏では、着々と魔王軍も準備を進めているようで…。

 

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