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コスタ・アマナ前編1/2  ジャウハラ前編1/2  幕間  後編1/2

海底の都 オーサルアトゥイ

クレタ
クレタ

〜♪ ♬♪♫ ♩♪〜♬

効果音

パチパチパチ…

ローレライ
ローレライ

相変わらず美しい歌声ですわね、クレタさん。

クレタ
クレタ

えへへ…ありがとうございます、ローレライ様。
………でも、一番聴いて欲しいお方に、この歌は届かない。
わたしはもう…お役に立てないのかもしれません…。

ローレライ
ローレライ

…………。
貴女の歌は、変わらずオーサルアトゥイの民の心の癒しとなっていますのよ。
大丈夫。アンネローゼ様だって、また耳を傾けて下さいますわ…。

パンセレネ クロノディウム

効果音

コンコン!

ディアマント
ディアマント

入れ。

スパシ
スパシ

よろしいでしょうか、ディアマント様。
コスタ・アマナより書状が届きました。

スパシ
スパシ

二通あるのですが、建国祭への来賓招待状と…おや、こちらは…?
…ひとまずご覧ください。

ディアマント
ディアマント

………………ふむ、これは…。
………直ちに、女王にお渡しせねばなるまい。

パンセレネ プレーヌ・リュヌ城

ディアマント
ディアマント

既に女王にはお伝えしたが、コスタ・アマナのフィリップ王子より「安全保障協定」締結の打診がなされた。

スパシ
スパシ

近々催されるコスタ・アマナ建国祭の開催期間中、
王子の身の安全の保障を我が騎士団に依頼したいそうです。
任務の内容は…建国祭の期間中、王子の護衛を行うこと。
問題なく建国祭が終われば、報酬も出すと仰っています。

アスセーナ
アスセーナ

他国の護衛、ですか。
…近頃は、我が国でも魔物の出没例が相次いでおります。
夢の樹事件の調査も御座います、とてもそのような余裕は…。

ペルラ
ペルラ

…………ちょっと、なァによそれェ………。

ペルラ
ペルラ

…あんの男ッ!
「王子の身の安全」ですってェ…?
そこは「住民の安全」じゃ無いのォ!?どこまで我が身が可愛いのかしらァ!?

アスセーナ
アスセーナ

!? い、如何なさいました、ペルラ様…?

セレナーデ
セレナーデ

ペルラ! …落ち着きなさい。

ペルラ
ペルラ

…ハッ!
つ、つい昂っちゃったわン…。ごめんなさいねェ。
アタシ、あの国の王子…大ッッッ嫌いなのよォン…。

ディアマント
ディアマント

仮にも大臣職を務める者が、国として対応すべき案件に私怨を挟むとは何事か。
口を慎み給え。……会議を続行する。

ペルラ
ペルラ

………。

スパシ
スパシ

コスタ・アマナは小国ながら、近年急速な発展を遂げています。
その経済の手腕は見事なもので、リゾート地としての人気も非常に高いです。
ですが…利益の為には強引な手段を取る国としても悪名高い。
外交において、慎重な姿勢を崩せない相手です。

セレナーデ
セレナーデ

ええ。ここで協定を無下に断っては、今後如何なる影響を及ぼす事か…。
…それに、この件には【夢の樹】が関わっているかもしれないのです。

アスセーナ
アスセーナ

…夢の樹が…?

スパシ
スパシ

はい。建国祭に於いて「魔女」が王子の命を脅かす危険性が高いと、書状に記されていました。
そのため、自警団に加え外部への護衛協力を要請したようです。
コスタ・アマナが存在する島の前領主は、兼ねてより奪還を策謀しているとの事…。

セレナーデ
セレナーデ

ペルラ…。貴方は「魔女」…前領主の御方と、親交が深いと聞いています。
何か変わった様子は伺えましたか…?

ペルラ
ペルラ

………………。
10年程前…領主だった頃は、少し好戦的だけど心優しい娘だったわン。
あの王子に島を譲り渡してから…どんどん沈んでいってしまった…。

ペルラ
ペルラ

海の底に身を移してからも、会いに行けば彼女は笑顔で迎え入れてくれたワ。
いつか絶対に島を取り戻して見せるって、心は屈していなかった。
でもねェ…近頃はアタシの話をまともに聞いてくれないのよォ。

ペルラ
ペルラ

まるで心まで、海の底に沈みきってしまったよう…。
「何か」があの子に作用しているのは、間違いないでしょうねェン…。

ディアマント
ディアマント

…今、大きな異変が起こるとなれば、【夢の樹】が最も疑わしい。
調査の必要性は少なくとも有るだろう。
私は協定を受諾すべきと考える。女王は如何か。

セレナーデ
セレナーデ

お受けいたしましょう。
コスタ・アマナの王子がどのような思惑で協定を結ぼうとしているのか…。想像は難しくありません。
ですが、迫る危機を見過ごす事も、彼女の心を見放す事も、出来ません。
そうでしょう…アスセーナ。

アスセーナ
アスセーナ

はい。リュウシンのように、コスタ・アマナで災難が起こるかも知れない…。
ならば、我々が打ち砕く剣となってみせましょう。

セレナーデ
セレナーデ

リュウシンの事件以来…レム・ワールドに大きな異変は起こっていません。
今のわたくしたちは不気味なほどに平穏な日々を過ごしています。
…ですがゆっくりと、確実に、この世界は蝕まれ始めている。

セレナーデ
セレナーデ

王子もまた不安に苛まれ、恐れているのでしょう…きっと。
手を取り、救ってさしあげましょう。
国も、王子も、「魔女」と呼ばれた彼女も…。

コスタ・アマナ 町外れの宿

アスセーナ
アスセーナ

おお…実に豪勢な宿舎だ。
流石コスタ・アマナの一等地だな…。

ルシエル
ルシエル

コレが特別騎士団全員分あるなんて信じらんないっすね〜…!
ハア………。青い空に青い海、白い砂浜に賑やかな町並み…。
最高のリゾート日和を、オレ達満喫できないんすねぇ…。

エメ
エメ

ウフフ…。コスタ・アマナはステキな島ですもんね!

エメ
エメ

でも、気をつけてください。
…一見、いつもの平和なリゾートに見えますが…王子の住む城から、強いチカラを感じます。
【夢の煙】に近いような…そんな感覚のモノ…。

アスセーナ
アスセーナ

エメ殿。この度は調査への協力と同行、心より感謝する。
更に詳しく調べられるだろうか?あちらの国に気付かれないように…。

エメ
エメ

ハイ。何か判ったらすぐにお教えしますね。では…行って来ますっ!

ルシエル
ルシエル

気をつけるっすよー!
…エメちゃんがこちらに協力的なのは、いい事っすけど。
騎士団の動きを察して、アルナディアの連中も動くでしょうねー…。

アスセーナ
アスセーナ

奴らは奴らで調査を進めていると聞く。必ず動きを見せるに違いないな。
…今は停戦状態にあるが、元は我々パンセレネと相容れぬ間柄。
奴らがもしコスタ・アマナに現れたとすれば、島に混乱を招くだろう…。

アスセーナ
アスセーナ

コスタ・アマナ建国祭の開催期間中、我々は魔女の襲撃に備える。
アルナディアの奇襲も想定に入れなければいけない。メインイベントは最終日といえ、心して掛からねばな。

ルシエル
ルシエル

ひええー…キッツ。リゾートがどうとかそんな場合じゃないっすね…。

アスセーナ
アスセーナ

詳しい任務内容は、これから私がフィリップ王子より賜る事となっている。
本日は現地待機、明日より任務開始だ。そのような予定と有志の団員に通達してくれ。

ルシエル
ルシエル

了解っす!

アスセーナ
アスセーナ

…ジャウハラ部隊の調子は如何だろうか。ロジエ殿が居れば無事とは思うが…。
ルシエル、後でリコリスとも連絡を取るように。任せたぞ。

海底の都 オーサルアトゥイ

ノクス
ノクス

………そうか。焔月、報告ご苦労。オレ達もたった今到着した。
お前は引き続き動向を探ってくれ。通信を切るぞ。
…失礼した。魔女アンネローゼ。

アンネローゼ
アンネローゼ

構わぬ。
では、何用で貴様らが我が城を訪れたのか……話してもらおうか。

ノクス
ノクス

「海底の魔女」がコスタ・アマナに攻め込む準備をしていると、風の噂を耳にしたんだ。
真偽は判らないが、もし事実なら手を貸そうと思ってな。

アンネローゼ
アンネローゼ

……何故?私と貴様らとは何の所縁も持たぬ。
見ず知らずの輩の手を安易に借りるほど、私は無能ではないぞ。

ノクス
ノクス

確かに…我がアルナディアとオーサルアトゥイに、大きな関わりは無い。訝しむのも無理はない。

ノクス
ノクス

リュウシンの事件を覚えているか?
少し前の話になるが、レム・ワールドの夜空から星々が消えたんだ。
…海底に籠りきりじゃ、星空も見ていないか。

ノクス
ノクス

星空が消えた原因は、消失した【夢の樹】にある。
オレ達アルナディアと王国パンセレネは、その【夢の樹】を探す競争に乗った。
リュウシンでは…僅かに遅れを取ったが、次はそうはいかない。
奴らが久しぶりに大きく動いたんだ。こちらも迎え撃つ準備が必要になる。

ノクス
ノクス

…率直に言おう。パンセレネはオレ達の敵だ。
そいつらが、お前の仇の味方についたんだ。金で雇われてな。
ならばこちらも手を組んだ方が、何かと都合が良いだろう?

アンネローゼ
アンネローゼ

私があの小僧をどうしたいか、貴様は知っているという訳だな。
……金か。あの小僧のやりそうな事だ。

ノクス
ノクス

パンセレネは、レム・ワールドの多くを支配している。
時間も空間も通貨も、ありとあらゆるものを…。

ノクス
ノクス

オレ達は奴らの掲げるものに決して縛られない。夢はもっと自由であるべきだ。
強大な力で抑えつけられようとも心奪われず、機会を伺いながら力を蓄えた。
お前と同じさ、アンネローゼ…。

アンネローゼ
アンネローゼ

………………
…確かに、貴様らとは境遇が似ているのかもしれぬな。

アンネローゼ
アンネローゼ

…私は、島を奪ったあの小僧を許せぬ。
眠りに誘われ数十年、愛し育てたこの島……ある男と競い合い、奪い合い、慈しんだ私の島だ。
どうあっても棄てられるものではない。
故に、反撃の機会をこうして海底より待ち望んでいるのだ。

アンネローゼ
アンネローゼ

……だが、それだけで貴様らを信用するには足りぬ。
あの小僧への復讐は遂げる。然しその為に貴様らの手を借りる事はない。

アンネローゼ
アンネローゼ

大勢の客人は久しぶりだ、それ相応に持て成そう。
城には滞在してくれて構わぬ。気を済ませ、直ちに帰るが良い。
…私はこれにて失礼する。

効果音

バタン…

ノクス
ノクス

…一筋縄では行かないか…。
いいさ、どんな手を使ってでも味方につけてやる。

ローレライ
ローレライ

アンネローゼ様。

アンネローゼ
アンネローゼ

何用だ、ローレライ。

ローレライ
ローレライ

失礼ながら…只今のお話、伺っておりましたの。
嗚呼、この時期にこのような機会に恵まれるなんて…実に素晴らしい巡り合わせ!
あの者たちの手を借りるべきと、占いの結果に出ておりますの。
わたくしとしてもこれを逃すことは大変に惜しく思いますわ…。

アンネローゼ
アンネローゼ

…そうか。
お前の助言に、オーサルアトゥイは常々救われて来た…。感謝している。
だが今回は別だ、ローレライ。信用に足る者でなければ……また裏切りを受け、敗北する光景が目に浮かぶのだ。
それが私は恐ろしい……裏切りによって民を傷つけてしまうことは……。

ローレライ
ローレライ

アンネローゼ様…。
…あなた様のお考えは痛いほど分かりますわ…。
ですが、あの者の目を見まして?わたくしはあの目からまっすぐな意志を感じましたわ。

ローレライ
ローレライ

あの強い眼差し。わたくしは同じ目を知っておりますわ、アンネローゼ様。
あなた様は深海の民を導く者。侵略者に虐げられた無念を晴らさなければ。

アンネローゼ
アンネローゼ

………………………………。
お前を信用しても良いのだな、ローレライ。

ローレライ
ローレライ

勿論ですわ!
長年お仕えしておりましたが…持てる力全てで、あなた様をお支え致しますわ。
深海の都に、今こそ光あれ。我らの道を指し示さんことを!

オーサルアトゥイ 宴の間

クレタ
クレタ

アルナディアの皆様。海底の都オーサルアトゥイに、ようこそいらっしゃいませ。
わたしはアンネローゼ様にお仕えしております、クレタと申します。

クレタ
クレタ

アンネローゼ様よりあなたがたへ、心からのおもてなしでございます。
ごゆっくりお寛ぎくださいね。

ノワール
ノワール

おお…!こいつァ見たことねェ料理の山だぜ!!ガハハハハハ!!!

ノーチェ
ノーチェ

もーっ!ノワールちゃんったら落ち着きなよー!
…あ、アレおいしそーっ♪モグモグモグ…!

クレタ
クレタ

……ノクス様。我が主・アンネローゼ様の無礼をどうかお許し下さいませ。

ノクス
ノクス

気にする事はない。アルナディアは、お前達の味方になろうとここに来た。
理解してもらうまで、多少の辛抱は覚悟の上だ。

クレタ
クレタ

味方………。
……ふふ、ありがとうございます。お優しいのですね。

ノクス
ノクス

優しい?…ははっ、そう見えるってか!随分と心の清らかな人魚姫様だ。
お前は昔からアンネローゼに仕えているのか?

クレタ
クレタ

はい。…アンネローゼ様の島が、あの男の物になる以前から…お傍におります。
わたしはアンネローゼ様に助けていただいた身です。
その恩返しにと、こころを癒す歌を唄う事が…わたしの役目。

ノクス
ノクス

心を癒す歌…。

クレタ
クレタ

ええ。わたしの種族が持つ癒しの力を、歌声に乗せて届けるのです。
アンネローゼ様も大層お気に召され、いつも歌を所望してくださいました…。

クレタ
クレタ

…ですが、近頃のアンネローゼ様は心ここにあらず、といったご様子で…。
あなた様へされたように、誰の話にも耳を傾けようとしません。古くからのご友人とのお喋りも、まったく楽しもうとせず…。
そして今では…わたしの歌も、聴いてくださらないのです。

クレタ
クレタ

アンネローゼ様の心が失われてゆくのに、わたしたちはそれを止められない。
苦しくて、苦しくて…仕方がありません…。
何か…わたしに出来ることは、無いのでしょうか…?

ノクス
ノクス

……そうか……。

 

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